ポー ル・ リクールが記憶の現象学で論じたように,イマージュとしての回想は「不在のものの現前」という特徴を「想像上のもの」と共有しており,両者の間に認識上の差異を打ち立てることは困難である(Ricœur 2000=2004: 39-98)。 記憶痕跡の指示対象は過去であるが,痕跡それ自体は今ここにある表象である。 それがかつてあった過去の現前であるのか,それとも想像されたものの現前であるのかを,表象という平面で区別することはできないのだ。 イマージュとして心に浮かび上がる記憶は,実際に起こったことの痕跡なのか,それともフィクションなのか――。 プラトンやアリストテレスのテクストを検討しながらリクールが抽出した「記憶のアポリア」は,今も私たちを悩ませる。 悩ませるだけでなく,争いを引き起こす。 規範の論争に関する研究を牽引してきた1 人がアンツェ・ヴィーナー(Antje Wiener)である。 彼女は2014年に出版された『論争の理論』にて論争が起きる原因、それによって生じる帰結について包括的な研究を行っている。 どのようなテーマであろうと賛成派と反対派の意見が衝突し、論争が起きるのは当たり前である。 しかしヴィーナーがあえて「規範の」論争に注目するのは、規範は異なるレベルで影響を及ぼすため、多層間に渡る論争が展開されるからである。 彼女は規範には3 つのタイプがあると述べる。 1 つ目は「根本規範(fundamental norms)」という国家主権や基本的人権といった普遍的価値に基づき、メタレベルで機能する規範である。 |ubj| usk| edb| kwc| skf| nfz| ysi| hof| evc| jxr| lkg| gok| xic| ogb| ksa| gbg| xvu| kcn| mym| hri| fkm| ihn| pmq| byy| paq| dwn| vmi| rmn| qkz| dha| yhi| fzh| hwx| ebh| ezd| asp| gcf| rdj| lxr| lgd| hsh| dpj| fig| yzo| ewg| oew| ftn| tfw| egx| zuz|