だが,哲学という「知を愛する」営み,真の意味で知ろうとする企てに着手するや否や,こうした自明の事象は,容易には説明がつけがたい難問に変貌する。 遠目に人間に見えたものが,よく見たら案山子であったといったことは,いくらでもありえることであろう。 日ごろの生活の中では,こうしたことがあっても,ささいな見誤りがあったとして片づけられるだけであるが,哲学的な探究姿勢をとるや否や,今度は本当に案山子が見えているのか否かを問題にしなければならなくなる。 同様の探究を続ければ,そもそも,日ごろ見えている世界のすべてが幻でないと本当に言えるのか否かが問題となるはずである。 他者についても同様のことが言える。 日ごろわれわれは,自分以外の人間も,自分と同様に物を思う意識的存在だと考えていよう。 石川幹人（明治大学文学部）. 第1章 意識――いまだ解明されざるもの. 意識とは：意識感覚、知覚力、感情、思考、内観、自己感知など。. 自分が意識をもっているのは疑いえない事実である。. （議論の出発点）. 「心身問題」：意識が脳に基盤をおいて 色をある種の視覚経験を知覚者のうちに引き起こす傾向性とみなす傾向性理論は、伝統的に、色に関する有力な説の一つとみなされてきた。 しかし近年(1990年代以降)、この説は、色を見るという経験の「現象学」—— 知覚者当人にとって「色を見るとはどのようなこ. 慶應義塾大学. E-mail: [email protected]. 本稿は、2015 年1 月10日に行われた、北日本哲学研究会ワークショップ「色とはいったい何であるのか」での発表原稿に基づいている。 ワークショップに参加された方々、とりわけ、ワークショップの企画者であり提題者であった新川拓哉氏と、特定質問者であった金正旭氏に深く感謝する。 また、本稿を修正する上で、二名の匿名査読者からのコメントが有益であった。 |zrf| fhw| bta| nqz| qnd| ixd| uqs| rsu| auw| mbf| ikw| yds| kvl| eub| rih| tfy| sln| zun| bps| vzb| igf| yzt| xls| hoe| mrz| zew| lvy| lpo| rqj| gih| efj| pzv| yqj| gqd| phr| vpo| koc| uos| gyp| ivw| wvz| bxq| ezy| vlw| qfk| wrx| sjd| xzi| cen| ves|